2024年1月15日月曜日

為替状況をめぐる世界経済情勢

 日経情報は、若干遅めだけど、一応の情勢把握には有効かと。

世界株、上昇の踊り場 日本急騰の裏で7割が年初下落

2024年初めの世界株市場は上昇の踊り場となった。日本株が急騰した裏で、主要株指数の7割は2023年末比で下落した。米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ予想やテック株強気論が一部修正を迫られたためだ。今週から本格化するグローバル企業の決算が株高の持続力を左右する。

主要20市場の株価指数を昨年末比騰落率でランキングしたところ、トップのトルコBIST100(6.9%高)と日経平均株価(6.3%高)が上昇率で突出した。一方、全体の7割にあたる13指数は下落した。米S&P500種株価指数も9日まではマイナス圏だった。年初の世界株相場は一部を除きやや低調なスタートといえる。

23年後半は楽観ムードが相場を覆っていた。米欧や新興国の株価指数が大幅に上昇し、ドイツやインドの指数などが相次ぎ最高値を更新した。中国株を除けば総じて株高だった。

日本株の急騰と総強気ムードの修正はなぜ起きたのか。23年末に予想されていた24年シナリオに3つの修正が生じ、日本とそれ以外の格差を生んでいる。

まず日銀のマイナス金利解除観測の後退だ。昨年末からの植田和男日銀総裁の発言や元日の能登半島地震を受けて、1月にも政策を変更するとの見方は減った。23年末の円買いが巻き戻され、再び一時146円台の円安水準をつけた。

円高懸念が薄らいだことで、輸出企業の業績に再び追い風が吹いている。23年後半に出遅れた日経平均の急上昇につながった。

2つめは米利下げ織り込みの後退だ。FRBによる23年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨発表が転機となった。パウエル議長による昨年12月の説明と比べて「利下げに慎重な内容」に映ったためだ。

11日公表の米消費者物価指数(CPI)もインフレ圧力の根強さを印象づけ、グローバルマーケットエコノミストの鈴木敏之氏は「3月会合で利下げを見込むことは難しい」と指摘する。米長期金利の低下は一服し4%程度に戻している。

変化は、米国市場の中にもみてとれる。中小型株で構成するラッセル2000は昨年末比で3.7%下落している。一般的に中小は借り入れ依存度が高く、金利高は業績を下押しする。早期利下げ観測を背景に23年10月から2割ほど上昇していたが、ここにきて期待が剝落した。大企業中心のS&P500が最高値まで残り0.3%に迫るのとは対照的だ。

米利下げの行方は新興国株にも影響を及ぼす。米利下げによるドル安で新興国は資金流出リスクが低下し、自国の政策金利を引き下げやすくなる――。こうした見立てがブラジルやインドネシアといった一部新興国の23年株高を支えてきた。年初に米利下げ期待が後退し、いったん利益確定売りが優勢になっている。

3つめは半導体・人工知能(AI)強気一辺倒の修正だ。QUICK・ファクトセットによると半導体関連約500銘柄の時価総額合計は23年の1年間に6割拡大し、世界株時価に占める割合は4.6%に達する。生成AI需要が「爆発的な利益成長」をもたらすとの期待から、23年の株高のドライバーとなっていた。

冷や水を浴びせたのが韓国サムスン電子が9日発表した23年通期の決算速報だ。半導体部門が大幅な赤字となり、営業利益は市場予想を下回って08年以来の低水準だった。

同社株の下げが足を引っ張り、韓国総合株価指数(KOSPI)は4.9%安と主要20指数で最も下げが大きい。同様に半導体関連株ウエートの高い台湾加権指数も2.3%安と軟調だ。韓国と台湾の株価指数は高値圏で推移していただけに、利益確定売りが出やすかった。

米欧やアジアで主要企業の23年10〜12月期決算発表が本格化する。世界株は総じて高値圏にあるが、金利低下期待が株価を支える局面が小休止を迎えている。「投資家の関心は企業業績に移っていく」(フィデリティ投信の重見吉徳マクロストラテジスト)との見方は多い。

今週は18日の台湾積体電路製造(TSMC)に注目が集まる。23年通期業績を発表する見通しだ。10日公表した12月の月次売上高を基にした10〜12月期売上高は市場予想を上回っており、決算で半導体市場の回復に自信を示せば再び半導体への期待が高まる可能性がある。

下旬の米マイクロソフトではAIへの関心が集まる。2月1日の米アップルは証券会社による投資判断の引き下げが相次いでおり、ピクテ・ジャパンの田中純平ストラテジストは「アップルの決算で中国不振への警戒が強まれば、中国関連とされる銘柄に売りが広がる可能性もある」とみていた。

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