2016年10月22日土曜日

中国の将来についての考察と追加で米国についても

習政権と言うか、むしろ、習自身の夢の実現が、今の中国の動向を示していて、そこから、彼が世界に冠たる中華帝国を目指し、彼自身を中華帝国の英雄皇帝となることを目指していることは明らかだろう。
  現在の状況まで達したら、現在の、歴史的に極めて高度な電子警戒システムが有れば、彼の権力を維持し続けることで、これを達成することは可能と思われる。しかし、歴史の教えでは、かような帝国の維持は困難で、独裁政権は劣化を生じ、一度劣化を起こすと崩壊することでしか再生できないことになっている。ただ過去の社会と現在の社会の差がこれを防ぐことができるか、つまり、中華帝国がその力を永続的に維持できるかどうかは、その点にかかっていると思われる。
    中国の将来は、結局は、歴史が示す「盛者必衰」を防ぐことができるかどうかにかかっていることになる。ところが「盛者必衰」は証明を要するほどの真実では無いと思える。なぜなら人類3000年~5000年の歴史において、盛者必衰に反する事態は起こっていないからだ。むしろ、なぜ盛者必衰が生じるのかが興味あることだから、この観点で考え、その後、習政権が「盛者必衰」を防げるかどうかを考えてみる。
   「盛者必衰」がなぜ生じるかも実は簡単な理由なのだ。それは、組織の劣化によって引き起こされる。組織の劣化とは、つまり、組織の中の劣悪な組織員が実権を握り、その結果、組織が組織全体のためではなく、劣悪な組織員のために運営される状態を言い、一旦劣悪な人間が実権を握ると、部下や後継者として、やはり、同じように劣悪な組織員が選ばれることになる。歴史的に見ると、ひとたび組織の劣化が始まると、これが改善されることは殆ど期待できない。僅かに改善の陰が見られることも有ったが結局は、再び劣化を続け、最後には、その組織は崩壊する。
    欧米の戦後の法律家は、歴史から、特に、ローマ帝国が長命であったことから、ローマ帝国の歴史を学ぶことで、組織の劣化を防ぐべく、憲法や法律、国家組織構成等を、組織の劣化を防ぐべく構成してきた。特に米国の政治組織は、その点を特に重視している。その考えが日本国憲法にも応用されているのだが日本人自身はそのことに気づいていない。
    米国の憲法・政治システムで、ローマ帝国のそれを参考にしているのは、独裁者の発生をいかに防ぐか、と、社会・政治組織の中にいかに新しい血を入れていくか、の2点であろうと思われる。言い方を変えるなら、民主主義をいかに維持するか、と、組織員の考え方をいかに新鮮な状態を維持するかである。逆に言うなら、独裁者や組織の固定化は、組織の劣化を招くことになる。
以上のことからすれば、中国の現状からは、組織の劣化を防ぐことは出来ないことになる。
  つまり、中国はあるレベルまでの発展後に、そこで発展はとまり、劣化してゆくことと思われる。と言うか、習政権自体が独裁政権を目指し、その政権内部には既に劣化が始まっていると見るべきだろう。習政権の劣化はいずれ著しくなるのだが、問題は、その衰退過程で他国を道連れにする可能性が高いってことだろう。道連れの方法はいろいろとあり、他国に無理難題を押し付けるとか、戦争をしかけるとかが考えられる。それらの道連れ策に引き込まれることをどう防ぐかが重要なのだが、組織の劣化を起こしている日本の政治システムにはこれを予防する能力がない。それが、とても心配だがどう仕様もない。
上記のような最悪の道連れ状態が必ず起こるのかどうか、道連れが起こらない場合はどうなるかも考えるべきだろう。
11月10日になり、米国の大統領にトランプが選ばれた。トランプもまた独裁的思考の持ち主だが、大統領を目指した心情は明らかではない、が、彼がとても危険な存在であろうと想定できて、世界の情勢はいよいよ複雑になってきた。それも、危険な方向に進んである。トランプ勝利も考慮しながら分析を進めるべきだろう。
トランプの勝利を、米国民の総意の変化を読みきれなかったとして受け入れるとか、驚くべきことに安倍政権内では、トランプ氏のその後の言動を見て、「思いの外に良い男だ」との発言が出ているらしい。だが、トランプの勝利は、博愛・人権を求めてきた戦後の歴史を否定して、人種差別、女性蔑視、宗教的排他主義を全面に出し、人類の悪い一面を強く肯定することを示している。この方向の社会が悲惨な結果になることも歴史が示している。つまり、トランプの示すのに近い社会も歴史的に何度も現れているが、結局は悲惨な破綻になっている。トランプの示す社会は、その社会の支配的種族の中間、下層集団が、より弱者から富を奪うとの社会であり、そのような社会はなぜか脆くも崩壊してしまうのだ。が、今回のトランプの社会は、世界で最も強力な国家内での出来事であり、外部から崩壊させるほどの勢力も無く、そのような国家は、ロシア・中国のような、やはり独裁国家であり、しかも、戦争勃発では核戦争での破滅がまっているとの、過去には無い状況になっている。そのことで、トランプの社会が長く続き得るのだが、その程度が判らない。が、とにかく、周辺の弱小国から富を奪うことになるのは歴史的な真実と言える。それにも拘らず安倍政権は甘い見通しになっていることが恐ろしい。
中ロのみならず、米国もまた弱者強肉政策をすすめるとなった以上は、日本もまたそれに対応しなければならない。この道は、中ロのみが弱者強肉の政権である場合とは根本的に異なり、しかも、予測が付き難いのだ。特に、トランプには確たる信念はなく、その場その場での損得計算で物事が進むだけに、その行動は予測が困難で、しかも、世界に冠たる米国がこのような状態だと、いよいよ世界の今後についての予測が困難となるのだ。