2021年3月12日金曜日

国家も会社も一緒だろう。DX化には能力があり自分一人でもやる気のトップが必要だ。

 パソコンを使えないIT化大臣と能力の無い官僚達では、年間一兆円もどぶに捨て続けることになる。医療とか教育のDX化なんて出来ないことが不思議だ。
そう言えば、市の図書館I行くと、コロナの関係で、入館表に記載して、時間制限のために入館番号札を渡される。図書館で本を借りるには、各人がバーコード付き図書券を持っているのだから、それを読み取り機で読めば入館表記入とか番号札手渡しなんてコロナ感染の可能性ある対人手続きなんて不要なんだが、不思議なことだ。


IT阻む「現状維持」 デジタル社会の構築「限界感じた」

日本は変われたか 大震災10年(3)

被災した高齢者を診察する武藤医師(2012年1月、宮城県石巻市)

解決すべき課題があり、デジタル技術を使えば成果が見込めるのに踏み出せない。東日本大震災という未曽有の災害を経験しても、医療や教育の現場は現状に安住し、改革は進まなかった。

「デジタル社会の構築に限界を感じた」。震災後に宮城県石巻市に診療所を開いた医師、武藤真祐氏は今、落胆の思いを抑えられない。

2011年9月、IT(情報技術)で被災地の高齢者を効率的に支えようと、訪問診療で使えるクラウド型の医療・介護情報共有システムを立ち上げた。14年には自治体や医師会、介護事業所などが地域で運用する体制もでき、患者の体調や必要な処置などを共有してケアの質を高める動きが広がった。

ところが地元医師会がコスト負担などを理由に手を引くと、事業は立ち消えになってしまった。

日本の医療界はデジタル化の流れに尻込みし、逆らってきた。

オンライン診療が広がれば、地域の開業医らは患者を遠隔地の大病院や著名医師に奪われる恐れがある。「対面」がリスクとなった新型コロナウイルスの感染拡大で、時限措置としてオンライン診療が初診にも解禁されたものの、恒久化に消極的な姿勢は変わらない。

地方では高齢の医師が高齢の患者を診る「老老医療」の状況が広がり、医師不足の進行が懸念されている。にもかかわらず、デジタル技術を活用して地域医療の新しい姿をつくろうとする機運は高まらない。

漫然と現状に甘んじていたのは教育界も変わらない。

09年の国際調査で、日本は学校内でパソコンを使える生徒の割合が先進国で最低水準だった。直近の18年調査でも状況は変わらず、授業でデジタル機器を使わない生徒は8割を占めていた。

チョークと黒板で授業を続けてきたベテランの教員にとって、新たなスキルを身につけてタブレットと電子教材に切り替えるモチベーションは乏しい。文部科学省の取り組みもスピード感を欠き、パソコンやタブレットの配備は遅々として進まなかった。

政府が19年末に立てた計画でも、全小中学生に端末を配備する目標は24年3月末とされていた。コロナ禍を受けて慌てて21年3月末に繰り上げたが、20年春の長期休校中にネットで同時双方向型の授業をした公立校は15%にとどまった。

この間に被災地では着実に改革を続けていたところもあった。

福島県新地町の新地小学校では、コロナ禍の休校期間もオンラインで双方向の授業を続けた(20年5月)=同小学校提供

もともと電子黒板の配備などに取り組んでいた福島県新地町は、震災の際に学びの継続が脅かされた経験からデジタル化を加速した。町立小学校では18年度までに全児童分の端末をそろえ、20年春は双方向型のオンライン授業を進めた。

東北大の青木栄一准教授(教育行政学)は「震災の影響は局地的で、日本全体が自分事と受け止め、根本的に教育制度を変える動きにつなげられなかった」とみる。

コロナ禍は日本全体のデジタル化の遅れを白日の下にさらした。政府による1人一律10万円の給付では、マイナンバーカードを活用したオンライン申請が機能しなかった。コロナ感染者の情報入力ではファクスによるやりとりが続き、データ集計の遅れを招いた。

政府が世界最先端のIT国家を目指したのが01年。同じ時期に取り組みを始めたデンマークは国連の電子政府ランキングでトップを走る。日本は14位に沈んでいる。

日本総合研究所の野村敦子主任研究員は「日本は20年間、毎年1兆円規模のIT投資をしたが成果を出せなかった」と話す。

世界が息をのむ大災害に見舞われ、多くの教訓を得たはずの国が、コロナという新たな危機への対応で世界に後れを取っている。マイナスからのスタートをためらっている時間はない。

2021年3月5日金曜日

DX推進の間違った方法の経験例

 僕の居た技術部門は、プロジェクトの実施からその工程、費用管理も行う総括的な部門であった。それなれば、詳細設計から見積り・工程管理・利益管理までに習熟している筈だから、DX化は推進しやすだろうと思われる。ところが、人は奇妙な行動を取り始めるのだ。僕とは別グループのプロマネが、我々が関与していたコンベヤ設備群について、構成各部分品の標準化は終えているので、見積り・積算のプログラムをつくるべく、そのDX化の責任者となり、その実務の担当者としては、コンピュータに慣れた課員を据えて、積算プログラムの構築を始めた。
僕であれば、既に、設備群を構成する各コンベヤの設備仕様を入力すれば、自動的に設備仕様を計算し、各構成部分に相当する、装置単価や比例単価(例えば鉄工品の重量単価)等を決めて置けば、それを使って重量・価格が積算ができて、これを元に、輸送費、据付費を積算できる筈だと考えるのが普通で、当時の実情とすれば、人力によってその手順で積算していた。ところが、そのDX責任者は、機長とコンベヤ仕様レベル、を入力するだけで、全てを算出する夢のようなプログラムを作るようにと担当者に指示した。その手順は、彼が担当した何件かのプロジェクトを参考に、総機長とコンベヤ設備レベルと、各プロジェクトの総重量・総価格をグラフで作り、各プロジェクトの係数を決めて、極端に言えば、総重量または総金額=f(設備係数、長さ)なる式を作ることで、DX化を実現しようとしたのだ。
当時、新居浜の設計課でもDX化・コストダウン化で、設備重量は能力の対数比で比例するとの考え方が海外から流入して、これを使った重量・コストダウンが実施されていたので、それを応用してのDX化であったようだ。
僕の考えでは、設計手順や積算基準が確立しているなら、そのDX化は、それらの手順や基準を使って機器仕様や重量を算出するプログラムを作り、これを元に、積算・設計図作成・製作管理・工程管理・据付費積算・工程管理などのプログラムを作ればDX化は完成すると、それは誰でも考えることだと思うのだが、従来の各工程基準を完全に無視してのDX化がそもそも出来るのか、と僕は不思議に思った。
結局、新居浜のその考え方で作ったヤード機械は、運転中に座屈して潰れてしまい、僕の課のDX化プログラムは、実際に使う前に、どうにもこうにも使えないシステムとなってしまった。それにしても不思議なのは、新居浜のその潰れたヤード機械は、最終的に強度計算もせずに設計されたことになるのが、そんなことが許されたのだろうか。
他方、僕は、東京に移動前に、土曜・日曜無給出勤を続けて、見積り・設計・積算プログラムを作り上げて、東京に移動後は、これを使って見積りしていたが、その当時の東京部門の部長が独自に、コンベヤ設備群の積算プログラムを作り始めた。が、やはり実務を無視した積算プログラムで、設備仕様を元にした設備係数を使ってのプログラムを、それも設計経験の無い事務屋さんを担当者として作り始めて、結局は誰も使うことの無いDX化となってしまった。その部長は、僕のプログラムの存在を知っているのに、なぜ、僕のプログラムを参考にしないのかと不思議でならなかった。
今から考えると、彼等は、"DX化とは、既存の設計基準や積算基準には拘らないもの"との先入観や思想に犯されていたのだろう、それ故に、技術や手順に手馴れた僕の遣り方は採用できない思ったのだろうと想像される。更に彼等は、管理職は自分で仕事はしないで部下に指示すべきだとの社内教育に従ったことで、ほぼ実務を知ることなく管理職となったことがこの結果を招いた一因とも考えられる。

僕のプログラムでも強度計算に関係ないもの、例えば、歩道重量や階段重量は、過去の実績例や計算手順を元に、推定値を出す式を作ったり、若しくは、架台等は見積り時に詳細設計は無理だから推定値を算出する類推式を導入したが、基本となるコンベヤ自体の動力計算や張力計算や、そこから導き出される構成主要要素については推定値ではなく確定値を採用した。つまり、ほぼ見積り仕様は、そのまま、実行予算、更には実施設計に使えるレベルとした。そうなれば、見積り数値はそのまま実施設計に使えることになる。
AI方式となっても、これらの手順は変わらないだろう。いくら、変数を増やしても、きちんと計算できるものはAIであろうと、それを踏襲するはずだ。
推定値の効果について僕はこれを否定はしない。例えば、僕の教わった石谷清幹先生のボイラー要論では、その導入部で、日本の所要動力の変化から未来予測を行っているが、そこで1990年ごろに何らかの経済的破綻が日本を襲うと予測しているが、それは40年後に現実となった。それだけではなくて、変数が余りに多いものについてもデータが大量に得られれば、推定方式を使うことがAIでは採用されている。しかし、それらは、きちんと計算できることに応用されるべきものではないだろうと思う。

2021年3月4日木曜日

会社や社会にDXを推進するのは、なかなか難しい。

 DXとは要するに、電子化、コンピュータ化を、会社業務の上流から下流までの業務に全て適用することを意味する。つまり、これを社内や社会に適用することをDX化と言うわけだ。
言うのは簡単だが、実行するのは難しい。
僕の所属した、運搬機事業部では、ほぼ失敗したまま事業部は無くなってしまった。その後を継ぐ、搬送システム部門も未だに成功していないだろう。
その失敗は、それを担当する人員が、実務を殆ど知らない人間が、突然に、DXを実施しろと命令されるのが殆どだからである。そんな異常な事態が起こるのかと思われがちだが、実際の社会では、従来の手順に拘らない人間が改革を担当する方が改革を行い易いとの論理らしい。実務と言うのは、そんなに生易しいものではない、との認識を、実務を知らない上級職達は考えないのだ。上級職者は命令すれば事は進むと考えているのだが、実務としては、その命令されたことを、実務に堪能な社員が、組織に合わせて運用しているわけで、実際には何ら簡単なことでは無いわけだ。その複雑な手続きを、実務を知らない人間がDX化することは、ほぼ不可能で、出来た電子化システムは、ほぼ使われないままに、DX化が出来たとされるわけだ。それに比べて、自動倉庫部門は、見積り用技術計算システムと、製造標準化システムが、連携はされないが、それぞれがかなりのレベルまで出来ていた。おかげで運搬機事業部から追い出された僕が、自動倉庫部の、それも、最先端のSEとして客先との交渉や見積もりに従事したが、かなり容易にその仕事に適用出来て、かなりの受注を果たせた。
DX化することは、新しい社員を容易に古参社員レベルに教育できるとのメリットもあるのだ。
逆に言うなら、DX化とは業務に習熟した社員にとっては、極めて簡単なことなのだが、それを知らない指導者は、DX化にはほぼ失敗するわけだ。そんな失敗を、住友重機械では、僕は何度も見ている。

改革に失敗 3つのワナ

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デジタル技術で事業を変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を推進する企業が増えている。ただし、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)によるとDXに成功した国内企業は14%にとどまる。失敗の原因は何か。専門家への取材から課題と解決策をまとめた。

(1)トップの意識低く SOMPO、社長が変革先導

経営トップに当事者意識がない――。専門家たちは、失敗する企業の共通点について一様にこう話す。積極的にトップが関与しない限り「DXが小さい取り組みになり、大きな成果を出しにくい」(BCGの長谷川晃一マネージング・ディレクター&パートナー)。

大手鉄鋼業のある事業部門の取り組みが典型例だ。社長の指示は「とにかくDXを推進しろ」の一点張りで、目的やデジタル技術で実現する事業の姿などは示さない。聞いても「現場で考えろ」と押し戻されるだけだったという。

推進役を命ぜられたIT(情報技術)部門は、裁量の範囲内でデジタル化施策を立案。iPadを使った業務のペーパーレス化を試みた。無事にシステムは完成し一部の文書を電子化できたものの、業務の進め方は以前と変わらなかった。掛け声倒れの失敗プロジェクトと見なされている。

「事業変革を伴わない業務改善プロジェクトは、DXとは呼べない」。コンサル大手のアクセンチュア(東京・港)の山根圭輔マネジング・ディレクターは指摘する。

BCGの調査によれば、日本企業の67%はデジタル技術を「現在のビジネスモデル効率化を可能にするもの」と答えた。既存業務の効率化をDXと呼んでいるに等しい。これに対し33%が「ビジネスモデルの大幅な変更・拡張、または新規ビジネスモデルの開発を可能にするもの」と回答した。

重要なのはトップの姿勢だ。自社の事業モデルがどう変わるか方向性を明確に示す必要がある。

DXのビジョンを社内外に示している経営者の一人がSOMPOホールディングスの桜田謙悟社長だ。健康情報など「リアルデータを集め、分析することで新しいビジネスモデルを創造する」と話す。グループが運営する介護付き有料老人ホームで入居者の許諾を得て睡眠データなどを取得。体調の変化を素早く検知することに成功した。別のグループ会社でデータ解析サービスも始めた。

(2)推進役の能力不足 三菱ケミ、プロ人材招く

推進組織のスキル不足も失敗の要因となる。日経リサーチが約2千人のビジネスパーソンを対象にした調査でも、DXの課題として最も多かったのは「人材・スキルの不足(62%)」だった。

DXでは事業の進め方を抜本的に変更するため、社内の複数の部門をまたいで業務プロセスを見直す必要が生じる。だが「複数部門の状況を理解して、最適な業務のあり方を再構築できる人材は少ない」と野村総合研究所子会社、NRIデジタル(横浜市)の雨宮正和社長は話す。

デジタルトランスフォーメーション研究所(東京・千代田)の荒瀬光宏代表取締役は、IT部門にDXの推進役を任せる慣習を問題視する。「多くの企業のIT部門は、事業部門の依頼を受けてシステムを構築する受け身体質。全社の変革を先導するスキルを持ち合わせていない」と話す。

日経リサーチの調査によれば、DXについて「IT・システム部門を中心に進めている」と回答した割合は全体の36%で最も多かった。

推進部門に適切な権限が与えられていない場合も問題だ。社内外から必要な人材を集めたり、予算を確保できたりしなければ、プロジェクトを成功に導くのは難しい。

参考になるのは三菱ケミカルホールディングスの取り組みだ。2017年にDX専門組織を立ち上げると同時に、日本IBM東京基礎研究所の所長を務めた岩野和生氏を最高デジタル責任者(CDO)として迎え入れた。岩野氏の広い人脈で、データサイエンティストなどの専門人材を招き、精鋭チームを構築した。

以降、大小含めて年間100件ほどのプロジェクトを進めてきた。画像解析技術を使った生産ラインの品質チェック自動化などを実現している。

(3)現場を巻き込めず コマツ、内外でビジョン共有

トップの姿勢があいまいだと、事業部門の反発を招きかねない。社内の抵抗勢力を変革に巻き込めず、DXが頓挫するケースは多い。

中堅自動車部品メーカーでIT部門がデジタル技術を活用したサプライチェーン改革を企画した。営業や生産などの担当者を集め将来構想について議論しようとした。

ところが業務の変更に現場が猛烈に抵抗した。既存業務の仕方は長年かけてその部門に最適化されている場合が多く、現場担当者の立場では変革が非合理に感じてしまうからだ。建設的な意見が出ないどころか「今のシステムの使い勝手をよくしてほしい」と営業や生産の担当者がまくしたて、サプライチェーン改革の構想は立ち消えた。

冷めている事業部門を巻き込むには、経営トップが示したビジョンをわかりやすく社内に浸透させる必要がある。

DXの先進企業として知られるコマツが活用するのが動画だ。同社は建機の自動運転などで現場作業を抜本的に見直す「スマートコンストラクション」を推進する。デジタル化で将来の建設現場がどう変わるかをコンセプト映像にまとめた。社内外の関係者に協力を求める際などに見せてDXに対する理解を促す。

「既存事業が問題なく収益を上げられている時期は変革を実行しにくい。コロナ禍の今はDXを進める絶好のチャンスだ」とNRIデジタルの雨宮社長は指摘する。

(矢口竜太郎)

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2021年3月3日水曜日

我が国は立ち直れるのであろうか

 既にいろんな分野で日本は立遅れてしまった。その殆どの理由は、政府の指導者や官僚達の無能に有る。学問・技術・科学を推進するには、それなりの知識と能力が無ければならない。口だけでそれらが推進できると思っている今の指導者たちには、何の期待も出来ないだろう。
其のことが如実に表れているのが、以下に添付した、ワクチン後進国との記事で、更に、5輪アプリが75億との記事だ。ワクチン後進国は既知の事実で、5輪アプリは75億とは、アプリなるものが75億なんて費用を認める厚生省の異常さだ。

「ワクチン後進国」の汚名返上を

中川恵一

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子宮頸(けい)がんは、分子生物学的な発がんのメカニズムがもっとも解明されているがんの一つです。

イラスト・中村久美

性交渉に伴うヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因のほぼ100%を占めます。HPVには、100以上のタイプがありますが、16型、18型に代表される「ハイリスク型」が子宮頸がんの他、肛門がんや咽頭がんの原因となります。

性交渉によって子宮頸部の細胞に感染したハイリスク型HPVはE6、E7という2つの異常なタンパク質を合成します。E6とE7はそれぞれ、p53とRbという「がん抑制遺伝子」が作るタンパク質の働きを抑えます。

p53遺伝子はDNAの傷を修復させたり、傷が多い細胞を「自殺」に追い込んだり、細胞増殖の周期を止めたりします。細胞のがん化を防ぐ司令塔で、「ゲノムの守護者」とも呼ばれます。

Rbは最初に発見されたがん抑制遺伝子で、「網膜芽細胞腫」の原因遺伝子です。この遺伝子は不要な細胞分裂を行わないように調整する機能を担っています。

ハイリスク型HPVが作るE6、E7によって、p53とRbのがん抑制遺伝子の機能がブロックされる結果、がん化が進むわけです。

ハイリスク型HPVの感染を予防することがベストシナリオです。現在、定期接種の対象となっているHPV予防ワクチンはガーダシル、サーバリックスの2つ。ともに、もっとも危険な16型、18型のハイリスク型HPVの感染を予防します。もっとも、一時8割近かった接種率は現在、ほとんどゼロに低迷しています。

一方、海外では、16型、18型を含む7つのハイリスク型HPVを防ぐシルガード9が主流となりつつあります。このワクチンでは、子宮頸がんの約9割が予防でき、リスクは1割程度まで低下します。

80以上の国と地域で承認されており、米国では11~12歳の「男女」に定期接種が行われています。日本でも、先週から、このワクチンの任意接種が可能となりましたが、世界的に需要が高く、供給の見込みは不透明のようです。

新型コロナウイルスに対するワクチン接種も遅れる日本。「ワクチン後進国」の汚名返上が必要です。

(東京大学病院准教授)

開発費73億円で話題の“五輪アプリ”、機能は? 発注元の内閣IT室に聞く

2021年02月25日 12時06分 公開
[樋口隆充ITmedia]

 「五輪アプリの開発費は約73億円」――京都新聞が2月21日に報じたこんな内容が注目を集めている。このアプリは、7月に開幕予定の東京オリンピック・パラリンピック競技大会(東京五輪)で来日する選手や関係者向けに政府が開発を進める健康管理アプリだ。

 この金額は妥当なのか。そんな疑問に対し、平井卓也デジタル改革担当相は24日の会見で「高いか安いかは簡単に申し上げられないが、必要な経費を合計した金額だ」と回答。接触確認アプリ「COCOA」の開発費約4億円との比較については「サポートセンターの構築などの多言語対応、GDPR(EU一般データ保護規則)への対応に費用がかかるため、COCOAとは比較できない」との見解を示した。

photo記者会見する平井大臣(出典:政府インターネットテレビ)

 73億円をかけて国が作る五輪アプリはどんなものなのか。発注元である内閣官房IT総合戦略室(IT室)の資料や担当者の話からひも解いていく。

情報はクラウドで管理 アプリ内でビザ申請も

 アプリの正式名称は「オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリ(仮称)」。ユーザーがアプリに入力した健康状態を国が構築するクラウド上の基盤で分析し、新型コロナ感染者の早期発見につなげる。

 一般競争入札を経て、IT室は1月14日に契約を締結した。受注者はNTTコミュニケーションズと数社で構成するコンソーシアムだという。

photo「オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリ(仮称)」の機能

 アプリの主な機能は健康管理機能だ。入国希望者にはビザ申請時に同アプリをインストールしてもらい、来日前の14日間、アプリ上で体温を記録する。ビザ申請時に記入したパスポートナンバーや滞在中の移動計画、名前、住所、国籍などもアプリにひも付ける。

 入国後も日々の体温を記入してもらい、高熱が続いた場合はアプリ側で警告するとともに関係機関への連絡とPCR検査を促す。検査で陽性反応が出た場合は、厚生労働省の「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム」(HER-SYS、ハーシス)にアプリの情報を引き継ぐ。

 ユーザーの位置情報はGPSを使ってスマートフォン内に蓄積。陽性判明後の調査に使う予定で、IT室はCOCOAとの併用も検討している。

 出入国管理や五輪の競技会場への入退場などにも活用を検討している。具体的には外務省のビザ発給システムと連携し、アプリ内からビザの申請を受け付けるようにする。また、空港の検疫や税関、入国管理で本人情報をQRコードを使って表示する機能や、競技会場の入退場に活用する顔認証システムと連携させ、現地スタッフがユーザーの健康確認を「○」「×」などで分かりやすく表示する機能なども検討中だ。

photoアプリ情報の連携は多岐にわたる

 ユーザーの多くが海外からの訪日外国人であると想定されることから、多言語サポートも充実させる。英語、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語への対応を必須としており、FAQをベースとしたチャットbotや有人のコールセンターを構築する予定だ。

 IT室は4月以降にテストを開始し、6月中にアプリをリリース、そして7月23日の大会開幕後にシステムを本格稼働させる方針。大会終了後は入国者の健康管理アプリとしての活用を検討している。

photoアプリの開発スケジュール
photoアプリの開発体制

 アプリの開発や運用、不具合への対応はIT室が主導するものの、データの連携にはハーシスを運用する厚労省、ビザの発給を担当する外務省など複数の省庁を横断させる必要がある。

 IT室を所管する平井大臣も「ハーシスなどよりもいろいろな情報を連携させる必要があるため、結構大変だと思う」と述べるなど、アプリの運用難易度の高さを認めている。

 COCOAで発生した不具合の失敗を生かせるか、注目を集めそうだ。

東京五輪、海外客受け入れ見送りで調整 コロナ拡大懸念に配慮

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