2023年2月9日木曜日

免疫療法

 

さて問題は免疫療法だ。免疫療法の中で、オプジーボとCAR-T細胞療法を除いては保険適用とはなっていない。つまりその治療成果が安定的でないと言える。オプジーボはその適用可否が遺伝子検査で判り、癌患者の10~20%で、CAR-T細胞療法は血液がんにしか効果が出ない。その他の免疫療法は従って、効果が明らかではなくて公的保険は適用されない。そのため、治療費は全額個人負担となる。従って最低でも200万円はかかる。免疫療法には大勢のスタッフが関わり、その程度の費用が掛かるのは当然のことなのだ。逆に、それほどの人手を掛けない免疫療法は詐欺的要素が高いと思われる。それほどの人手すなわち費用を掛けても、その効果は、効く人もあり効かない人もあり、と限定的だと言える。それほどにがん細胞は巧妙に免疫から逃れる術を尽くしていると言える。そのため、理論的には効果が出る筈の多くの免疫療法の効果が限定的なのだ。
腫瘍医は、免疫療法の不確実さをもって免疫療法を詐欺呼ばわりするが、患者に親切であるならば、もっと現実的な、つまり、公平な眼で免疫療法を評価すべきだと思う。また、同様に化学療法薬の効果を公正な眼で評価すべきだろう。さもなければ、高額な化学療法薬を売り込む製薬会社の言いなりになって、免疫療法医師を詐欺呼ばわりすることになってしまう。
とにかく、遺伝子分析が安価に短期間で行えるようになったため、免疫療法の更なる進歩が期待できる時代になった。
下記クリニックでは、各種がんでの治療実績も記載している。が、その実績の説明が少ないように思われ、このクリニックがどこまで信用できるかは不明です。
http://www.meneki-clinic.jp/report/index.html
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.bio-c.jp/clinic/data/200221.pdf
なお、最近脚光を浴びつつある、ネオアンチゲン療法は、阪大後輩の中村佑輔氏が提唱する免疫療法である。氏の関与する会社(
オンコセラピー・サイエンス社(大学発ベンチャー)の筆頭株主)が患者のがん細胞を遺伝子解析して、個人ごとの遺伝子異常に会った抗原ペプチドを該当患者の居るクリニック(日本で限られた数のクリニック)にペプチドを供給することになっている。

日本の腫瘍内科医が免疫療法に嫌がらせをしている間に、mRN技術が高い欧米に差をつけられた。

mRNA、次はがん治療に モデルナは患者別の薬開発へ

新型コロナウイルスワクチンで実用化された「メッセンジャーRNA(mRNA)」技術を使ったがん治療薬の開発が活発だ。先行するのはコロナワクチンを開発した海外勢で、米モデルナは2023年中に最終段階の臨床試験(治験)を計画し、独ビオンテックは台湾や日本などでの治験を検討している。一方、日本勢は出遅れが目立ち、研究開発体制の整備が課題だ。

各社が開発するのは、がんの目印となるたんぱく質「抗原」の断片を生成するmRNAだ。mRNAを人の体内に入れると免疫機能が抗原を覚え、がんを攻撃するようになる。この反応を通じて治療する。

モデルナは米製薬大手メルクと組み新薬を開発中で、最短で2025年の実用化を目指し、23年中に最終治験を始める計画だ。患者一人ひとりのがん細胞の特徴に合わせて薬剤をつくる「個別化がんワクチン」の開発を目指す。

中間段階にあたる第2相治験は、がんが進んだステージ3、4の悪性黒色腫(メラノーマ)で、手術を受けた患者約150人に実施した。メルクの既存薬「キイトルーダ」とがんワクチンを併用した患者は、既存薬だけを投与した患者と比べて再発または死亡リスクが44%下がった。

モデルナのステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)は「期待を上回る結果」と語る。中間治験の結果を踏まえ、対象となるがんの種類を増やして治験を実施する考えだ。日本での治験も検討している。

ビオンテックも、頭頸部がんを対象とした治験を台湾で行う。治験は台湾のほかに日本や韓国、シンガポールなどでも実施を検討する。昨年11月には、スイスの製薬大手ノバルティスからシンガポールの製造拠点を買収すると発表。mRNAワクチンなどの製造拠点をシンガポールに整備し、アジア地域での供給拡大につなげる。

ビオンテックはがん領域でmRNA薬以外にも約20の治験に取り組む。1月には英国政府とがん治療のためのmRNA薬開発で合意。30年末までに最大1万人の患者にがん治療薬などを提供する目標を掲げる。

独キュアバックもがん免疫薬と組み合わせ、進行性黒色腫などを対象にした初期段階の治験を行っている。

mRNA技術を使った医薬品は、米ファイザーとビオンテック、モデルナがコロナワクチンを短期間で実用化したことで、開発に弾みがついた。アーサー・ディ・リトル・ジャパンの花村遼パートナーは「mRNAは新薬を迅速に開発でき、他の疾患にも応用しやすい。世界の製薬企業が開発を競っている」と語る。

モデルナは10年以上前からがん治療薬の開発を目指してきた。バンセルCEOは「コロナウイルスの流行でmRNAワクチンの実用化が5年ほど早まった」と話す。

mRNAは患者ごとに異なるがん細胞の特徴に合わせた薬が投与できる。従来治療で効果が得られなかった患者への効果が期待されている。ただ新しい技術だけに有効性や安全性でわかっていないことも多い。バイオ技術に詳しいみずほ証券の都築伸弥シニアアナリストは「がんの末期では免疫反応が十分に得られない可能性もある」と指摘する。

英調査会社のエバリュエートによると、mRNA技術を使う医薬品の市場規模は20年の3億5400万ドルから、28年には178億ドルに拡大する見通しだ。mRNAワクチンの主力は当面、新型コロナ向けが占めるものの、コロナ感染が落ち着くと需要減が見込まれる。mRNAワクチンメーカーにとってはコロナ向けに続く、新たな用途開発が必要となっている。

欧米に比べて日本企業の動きは遅れている。第一三共がmRNA技術を使った新型コロナワクチンの承認を1月に申請したばかり。ナノキャリアは創薬支援のアクセリード(東京・港)と提携し、がんを含めたmRNA薬を開発することを1月に発表した。海外勢を巻き返すべく研究開発体制を充実させられるかは今後の課題だ。

(満武里奈、ニューヨーク=西邨紘子)


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