2023年4月30日日曜日

アシュガンジ肥料設備 それから

 工場専用バスがサイトに着いたが、そこは、工場建設事務部門の本部前で、僕ら用にジープが用意されていて、荷物を含めて乗り換えると、ジープは居住区の単身者用宿舎に連れて行き、私物を各部屋に運び終わると、再び事務所に戻り、サイトの首脳陣と打ち合わせとなった。が、数人の首脳陣と話し合うにも全く英語が理解できず、ただ相手の口元を眺めるだけであった。英語が堪能なはずの、電気の勉強も兼ねての機械検査員も、ほぼ理解できないようで、要するに話が通じないまま会議は終わり、現場の10人程度が入る据付指導員(エレクションスーパーバーザー)部屋に案内された。ただ、プロジェクトまとめ会社のFW(フォスターウイラー)の指導員は、それぞれの指導員小屋で、彼らの現地人部下と一緒に入っていて、我々の小屋は、下請けからの指導員ばかりであった。
言葉が全く通じないことでスーパーバイザー(SV)契約書に書いているディスクォリファイの項目通りだと恐れていたが、FWは心の広い会社で、彼らの直属SV,つまり我々がアドバイスすべき直属SVの中で、搬送設備を担当する、据付SVがやってきて現場案内をしてくれた。ただ、案内の仕方は、設備を収納する平屋建てのまだ屋根や外装をしていない鉄骨上に梯子で登り、そこから、梁の上を歩いて行き、地上の状態をあれこれ説明するので、我が方の仕上師や検査員はついてゆけるのだが、単なる設計者の僕は足を踏み外せば確実に死ぬだろうとびくびくしながら、何とか付いて行った。それで試験は終わったのか、ディスクォリファイの話は全く無かった。その据付師はキャノンさんといい、それからは何故か僕達日本人には本当に力強い味方となった。と、言うか、我々に不親切な人間はその現場には全く居なかった と言うのが正解だろう。また、仕上師のアトキンスさんや電気師のヒルさんも我々と仕事の関係が多く彼等もまた我々に親切であった。
これら、据付に従事する連中の上に、各エリヤ毎にスーパーインテンデントと称されるSVが居て、SV全員及び補助技術部門をまとめるのがチーフエンジニアのMr.Jordanで、僕は殆どのことを、このMr.Jordanに相談したが、いつも真剣に応対してくれた。それだけに、当方への依頼は、このMr.Jordanからなされた。このMr.Jordan と国連から派遣され現場の工事状況を検査するために派遣されていた検査会社のMr.Necorousが主に僕の交渉相手であり、Nicorousは奥さんが沖縄出身の日本人であり、特に我々に親切であった。


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