2020年8月30日日曜日

結局、コロナウイルスの件は失敗だったのだね。


コロナ危機管理内閣へ 動かぬ行政、立て直せるか
次期首相に問う(上)

新型コロナ
 
安倍首相辞任へ
 
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2020/8/30 1:00
1264文字
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7年8カ月に及ぶ歴代最長政権が幕を閉じ、日本の新たな青写真を描くときが来た。自民党総裁選は事実上、安倍晋三首相の次の首相を選ぶ場だ。最長政権が積み残した経済や社会、外交の課題を洗い出し、その処方箋を競う舞台となる。

■冒頭「検査拡充を」

新型コロナウイルス感染者の治療に当たる医療従事者(4月、東京都世田谷区の自衛隊中央病院)
新型コロナウイルス感染者の治療に当たる医療従事者(4月、東京都世田谷区の自衛隊中央病院)
次の首相の最優先課題は新型コロナウイルスだ。来夏に東京五輪・パラリンピックを控え、感染の抑制は開催の大前提になる。ワクチンの確保や検査・医療体制の整備で「世界で最も安全」と認められなければ開催はおぼつかない。「コロナ危機管理内閣」として取り組む必要がある。
「まずは検査能力を抜本的に拡充する」。安倍首相が辞任を表明した28日の記者会見。冒頭は新型コロナ対策で始まった。やり残したテーマだからだ。
4月には感染を調べるPCR検査の能力を1日2万件にすると表明した。首相が公に約束しても厚生労働省は動かない。「感染が検出されない偽陰性がある」「現場に負担がかかる」と反発し、達成に40日近くかかった。いまも検査数は国際的に見て少ない。
28日の記者会見では、無症状者に入院勧告ができる規定の修正にも首相が言及した。規定があるから無症状者でも入院させるかどうか医療現場が迷うという。政府内では「厚労省が自治体や医療現場と話して解決できる」との声もある。
検査数の低迷を首相はかつて「人的な目詰まりがあった」と語った。最長政権でさえ制御できなかった機能不全の行政の統治をどう再構築するかが問われる。

■就任早々に危機

次期首相は就任早々、危機に直面しかねない。秋冬は例年のようにインフルエンザが流行し、新型コロナと区別できない発熱患者が急増する可能性がある。
インフルと判別するため、安倍首相は抗原検査の能力を1日3万件から同20万件にすると表明した。問題は厚労省が本気でそれに取り組むかだ。
検査数を増やせば陽性と判定される人も多くなる。感染者の診療や入院が急増すれば、医療現場が崩壊しかねない――。これまで繰り返されたような理屈で検査数を抑える動きが出る懸念がある。感染者のための病床や宿泊療養施設の確保と一体で対策すべきだ。
国と地方や専門家会議、分科会との関係も曖昧さがある。突然の休校や外出自粛・休業の要請がどう決まったのか、誰が発信することを聞くべきなのか。皆が疑問に思った。政策決定の透明性も統治の宿題だ。
ポスト安倍候補は切り込めるのか。石破茂元幹事長は「コロナ収束のため、制限はある意味強制力を持つべきだ。補償も出てくる」と語る。休業要請などへの補償を設けて強制力のある措置を実施する考えだ。
岸田文雄政調会長は全国民への10万円給付など経済面の対策を主導してきた。菅義偉官房長官は経済重視が鮮明だ。緊急事態宣言の再発令に慎重で、国内旅行の需要喚起策「Go To トラベル」も推進した。
問題は医療にとどまらない。日本の行政はITや民間の知恵の活用などで世界から遅れている。今回の新型コロナでも企業や雇用への支援、遠隔教育の普及はなかなか進まない。行政の機能不全に手をつけなければ、危機を乗り越えるのは難しい。

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