2020年10月10日土曜日

学術会議、その後のトラブル

 その後の報道からすると、数名の学術会議会員を拒絶したのは、菅首相ではなく、学術会議を管轄する官僚であったようだ。菅首相としては、なぜ拒絶したのかを知る筈もなく、その件についての答弁は、官僚が書いた通りに答弁しているわけだ。それならば、ややこしい答弁はせずに、「私は関与していないので官僚に答弁させます」と答えればよいのだ。それは過去の首相が、「首相は学術会議院の選定には関与していない」と言い切っているのだからそれで良いのだ。
また、学術会員は、日当2万円と交通費を支給されるだけで、10億円の半分は、学術会議運営事務局の経費、つまり、天下り官僚たちの給料ってことらしい。
となれば、後は、河野行革大臣が、官僚達の無駄使いを追及すれば片付く問題のようだ。
結局は、自民党と官僚達の陰での策動が、たまたま表面に出てきたってことらしい。

予算など「聖域なく」 河野規制改革相、学術会議巡り

政治
社会・くらし
2020/10/9 22:44
1782文字
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菅義偉首相が新会員候補6人を任命しなかった日本学術会議を巡り、政府は9日、会議のあり方を検証する方針を明らかにした。政府・自民党にはかねて会員の選考過程や活動状況の問題を指摘する声があり、運営方法や組織形態の見直しが進む可能性がある。

河野太郎規制改革相は9日の記者会見で、学術会議の予算や事務局の人員の妥当性を検証すると表明し「聖域なく見ていく」と強調した。加藤勝信官房長官も記者会見で「河野氏の下、学術会議のあり方について与党と連携しながら検証が行われる」と説明した。

焦点になりそうなのが、首相が「事実上、現会員が自分の後任を指名することも可能」とする会員の選考方法だ。

会員の定員は210人で、半数が3年に1度改選される。候補者選考ではまず現役の会員らが、研究や受賞歴といった実績から会員にふさわしいと考える日本人をそれぞれ2人まで推薦。退職する会員も推薦できる。

選考委員会は候補者名簿を作成し、正副会長らでつくる幹事会に提出。総会での承認を経て、正式に首相に推薦する。

過去には2度の大きな変更があった。1949年の発足当初、会員は科学者同士の選挙で決まっていた。第2次大戦で科学技術が軍事利用された反省から発足した経緯もあり、軍事と距離を置くべきだと考える人の立候補が多くなった。

政府・自民党が問題視し、組織票が目立ってきたことなどから84年、会員選びは各学会の推薦に基づく首相の任命制に変更された。一方で同制度は学会内で会員を引き継いだり、特定分野に提言が偏ったりする問題が露呈。組織の廃止論も浮上する中で2005年には現行方式に変え、70歳定年制を導入した。

それでも候補者選びに外部の意見が入りにくい点は変わらず、15年には内閣府の有識者会議が選考過程の透明化を求めた。政府によると、今回任命された99人のうち81人は会員の推薦などで選ばれる「連携会員」(約2千人)の出身者。こうした実態が「会員を内輪で選んでいる」との批判につながっている。

活動にも課題がある。学術会議は発足後しばらくは法律に基づく政府への勧告などで影響力があった。東京大学原子核研究所(現・高エネルギー加速器研究機構)や国立極地研究所など、学術会議の勧告で設立された研究機関も少なくない。

1959年の政府の科学技術会議(現・総合科学技術・イノベーション会議)発足や、67年の旧文部省による学術審議会の設置を受け、政策への関与の度合いは薄れていった。

勧告は科学技術基本法の見直しなどについて2010年に出したのが最後で、答申は07年以降に政府の諮問がないため出ていない。省庁からの審議依頼への回答も過去10年で8件にとどまる。

ゲノム編集技術の臨床応用に対する法規制など過去3年でまとめた提言は80を超えるものの、影響力は限られる。

学術会議の20年度予算10億4896万円のうち、最も多くを占めるのは事務局の人件費4億3380万円だ。会員に固定給はなく、総会や委員会に参加した際の手当1万9600円(税込み)が出る。会員経験者への年金制度は存在しない。今後は公費に見合った活動実績があるか、より厳しく問われそうだ。

■欧米、非政府組織が中心
 「アカデミー」と呼ばれ、政府への助言や提言を担う科学学術団体は各国にあるが、日本学術会議とは異なる点が多い。
 学術会議が政府機関なのに対し、米科学アカデミーは独立民間非営利組織、仏科学アカデミーや英国王立協会は非政府組織(NGO)と、欧米は独立性が高い。
 欧米などの団体も政府の資金支援を受けるが、予算に国費が占める割合は3~8割程度で、寄付や基本財産の運用益、財団からの助成金なども含めて運営されている。
 予算規模が年数十億~数百億円に達する団体もある。研究費の助成や奨学金支給、顕彰の機能を持っていたり、ドイツのように研究を直接実施したりするためだ。
 会員が特別職の国家公務員という身分も日本ならではだ。欧米は会員が民間人で報酬はトップのみに出る組織が大半だ。
 欧米も現会員が後任を推薦する選出方法が多く、終身会員が中心となることから審査時は研究成果など学術上の功績に重点を置く。人選を巡る批判は少ないという。
 学術会議の元会員は「政府からの独立性が高い方が重みが増す。日本も財政状況は厳しいが、独立性を高めるため組織のあり方を見直すときかもしれない」と話す。

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