2024年4月28日日曜日

米国利下げはいつになるのだろうか?

 

30日~5月1日 FOMC

米、利下げ時期どう判断

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米連邦準備理事会(FRB)は30日から5月1日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。予想を上回る物価上昇を示す指標が続き、インフレ抑制への自信を持ってきたパウエル議長の強気な姿勢は修正を迫られた。市場参加者は議長から利下げ時期に関してヒントが出てくるか注目している。

政策金利の据え置きは確実視されている。今回は3カ月に1回の経済見通しも示されない。焦点はFOMC後の記者会見での議長発言に絞られる。

転機は10日の「CPI(消費者物価指数)ショック」だった。3月のCPIがエネルギーと食品を除くベースで前年同月比で3.8%上昇し、1~2月に続いて予想を上回る結果となった。

高インフレが沈静化していく長い下り坂の途中では、一時的な振れもある。2月の指標が出た時点でパウエル氏はこんな見方を「でこぼこ道」と表現していた。「インフレ抑制に向けた動きが失速した可能性がある」(ウォラー理事)と基調の変化を懸念する高官らと比べ、楽観的な姿勢が目立っていた。

パウエル氏はCPI公表後の16日のイベントで物価上昇率が2%に戻る確信を得るには「予想以上に時間がかかりそうだ」とトーンの修正を迫られた。25日に公表された1~3月の米個人消費支出(PCE)物価指数も想定を上回る強さで、物価の高止まりや再燃のリスクについてどれくらい深刻に考えているのかが注目される。

アトランタ連銀のボスティック総裁は18日のイベントで「年末にかけて利下げをする状況にはない」と踏み込んだ。物価高の懸念に加え、経済が好調で下支えの必要がないという。

普段は景気を重視して緩和的な政策を求める「ハト派」の一部も、今回は足並みをそろえる。代表格のサンフランシスコ連銀のデイリー総裁は「利下げを急ぐ必要はない」と講演で繰り返している。この点については、パウエル氏も再び強調する公算が大きい。

逃げ水のように、利下げの想定時期はずれ込んでいる。構図は年初から変わらないが、市場と当局の温度差が修正された点は異なる。金利先物を反映する「フェドウオッチ」で政策金利見通しを加重平均したところ、23年末時点では3.8%程度と今後1年間で6回の利下げを想定していた。

この楽観論は消え、25日時点で5.0%と年末まで1~2回しか想定していない。FOMC参加者は3月の経済見通し(中央値)でも年内3回分を想定していた。認識のズレが小さければ、市場が不安定になるリスクも小さい。

利下げ開始時期と11月の大統領選との兼ね合いも話題になりそうだ。パウエル氏は金融政策について政治情勢を勘案して決めるものではないと繰り返すが、「外野」では「利下げするなら11月の前にやるのが筋」(元FRB副議長のリチャード・クラリダ氏)などといった発言が飛び交う。

今回のFOMCではFRBが米国債や住宅ローン担保証券(MBS)などの保有資産を圧縮する量的引き締め(QT)の減速を正式に公表する可能性もある。前回の会合後の記者会見で実施方針を表明済みで、いまは上限を月600億ドル(約9兆3000億円)としている米国債の削減額を半分程度にする案が有力だ。

狙いはあふれたマネーを回収する過程で市場に目詰まりが起こる事態を未然に防ぐことにある。前回17~19年にQTを実施したが、終了直後の19年9月に金利の急騰が起きて混乱した。パウエル氏は持続可能なペースでより長く資産圧縮を続けるためだと説明しており、金融引き締めを緩めるという目的を否定している。

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