2024年3月8日金曜日

円高はどこまで?(日経新聞記事)

 相変わらず、後追い記事ですが、何らかの参考にと。
でも、口先介入もいい加減にしないと、市場に余計な波風を与えるし、思わぬ影響も及ぶのじゃあないでしょうか。他方、市場もただのゼロ金利解除なんて、ちょっとした口先介入で慌てすぎでしょう。

マイナス金利3月解除にらみ円高株安

1ドル147円台 日銀発信に市場反応

 

日銀による発信が金融市場を揺さぶっている。中川順子審議委員が7日の講演で「賃金と物価の好循環が展望できる」と述べると、円相場は約1カ月ぶりに1ドル=147円台まで上昇。日経平均株価は500円近く下落した。金融政策決定会合を18~19日に控え、マイナス金利政策の解除を意識する市場の緊張感が高まってきた。

中川審議委員は松江市で講演し、2%の物価安定目標の実現に向けて「着実に歩を進めている」とも語った。緩和の出口が近づいているとの認識を示したが、マイナス金利解除の判断時期に触れたわけではない。

それでも市場が鋭く反応したのは、日銀幹部による地ならしが続いているためだ。発端は2月29日の高田創審議委員の講演だ。2%の物価安定目標の「実現がようやく見通せる状況になってきた」と踏み込んだ。

さらに植田和男総裁も7日の参院予算委員会で「基調的な物価上昇率が2%に向けて徐々に高まるという見通しが実現する確度は、引き続き少しずつ高まってきている」と発言。金融引き締めに前向きな発信を否定しなかったとの受け止めが広がり円買いが膨らんだ。

あおぞら銀行の諸我晃氏は「3月マイナス金利解除の確率が一段と高まった」とみる。マイナス金利解除の時期を巡り市場では「3月論」と「4月論」がある。日銀から早期解除を意識させる発信が相次ぎ、3月論に傾きつつある。端的に映すのが短期金融市場だ。

QUICKベンチマークスが算出する1カ月物の東京ターム物リスク・フリー・レート(TORF)は6日に0.0125%まで上昇した。日銀が18~19日の決定会合でマイナス金利政策を解除し、短期金利がプラスに浮上すると市場が織り込んでいることを示す。

RBCブルーベイ・アセット・マネジメントのマーク・ダウディング氏が注目するのは13日に集中回答日を迎える春季労使交渉だ。「24年の賃上げ率は4.5~5%を見込んでいる。賃金上昇を根拠に日銀は3月にもマイナス金利を解除するだろう」と話す。日米欧の中銀で金融政策の転換点が最も近そうな日銀に世界の注目が集まっている。

米連邦準備理事会(FRB)の金融政策への思惑もドル安・円高傾向につながっている。パウエル議長は6日の議会証言で利下げについて「今年のある時点で始めることが適切になるだろう」と述べ、市場の利下げ期待をけん制しなかった。

6日に発表された2月のADP全米雇用リポートでは非農業部門の雇用者数が前月比14万人増と市場予想(15万人増)を下回った。大和証券の多田出健太氏は「FRBの利下げ期待が高まり、米金利が一段と下がる中でドルが売られた」と話す。

市場がマイナス金利解除を織り込みつつある一方、断続的に円売りも出ている。日銀はマイナス金利政策を解除しても緩和的な環境を維持すると重ねて強調しており、円安の根っこにある日米金利差が開いた状態は続くとみているためだ。

SMBC信託銀行の二宮圭子氏は「市場はすでに3月か4月のマイナス金利解除を織り込んでおり、日銀要因で147円台を抜けることは考えづらい」とみる。

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