2024年2月15日木曜日

後追い記事専門の日経記事ですが、円3度目の1ドル=150円台

 FX取引のご参考になれば、と

円、3度目の150円台 22・23年に続き

日米金利差高止まり見込む 円高シナリオ後退

 [会員限定記事]

14日の外国為替市場で円が対ドルで下落し、一時1ドル=150円台後半と約3カ月ぶりの水準をつけた。米国の物価や景気動向が想定以上に強く、市場では米連邦準備理事会(FRB)による大幅な利下げ期待が薄れた。日銀が当面緩和的な金融政策を維持するとの見方も円売りを促している。

円は2022年に、32年ぶりに150円台に下げた。節目となる同水準に乗せるのは23年に続いて今回で3度目となる。

円相場は23年11月に151円台まで下落した後、12月下旬には140円台前半まで円高が進んだ。市場では当時、FRBの利下げや日銀のマイナス金利解除によって日米の金利差が縮小し、24年は円高基調になるとの見方が多かった。こうした想定は見直しを迫られ、1カ月あまりで約10円、円安が進んだ。

財務省の神田真人財務官は14日午前、「最近の為替の動きはかなり急速だ。災害対応と一緒で24時間365日対応できるよう準備している」とけん制した。その上で「特定の水準を考えて行動していない。どれくらい大きくはやく変動しているかや、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)との乖離(かいり)などを勘案する」と語った。

円安・ドル高を後押ししているのが米利下げに関する市場の思惑だ。金利先物市場が織り込む24年末までの利下げ回数は年初から大幅に減っている。1月中旬には6.5回程度だった。2月2日発表の1月の米雇用統計で労働市場の強さが鮮明になると、4回強にまで下がっていた。

さらに13日発表の1月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ると、利下げ想定は約3.3回に低下した。粘着的なインフレを受け、FRBは政策金利を当面維持するとの見方が強まった。

23年12月にFRBが示した24年末の政策金利見通し(中央値)は4.6%とおよそ3回の利下げを見込んでいる。強い景気指標が相次いだ結果、「FRBと市場の間で広がっていた見方のズレは埋まりつつある」(バークレイズ証券の馬場直彦チーフ・エコノミスト)。

日銀の政策を巡る観測も円売りにつながっている。年初には能登半島地震が起きた。影響は見極めにくく、日銀のマイナス金利解除「1月説」は急速に薄れていった。

市場では日銀は4月までにマイナス金利解除に動くとの見方が多く、関心はその後の利上げに向かう。内田真一副総裁は今月8日、解除後も「緩和的な金融環境を維持していくことになる」と発言した。日銀は連続して利上げすることに慎重との見方が広がり、日米金利差の高止まりを見込んだ円売り・ドル買いが入りやすくなっている。

日米それぞれの金融政策を巡る思惑が変化した結果、他の通貨に比べて円の下げが目立つ。対ドルの下落率は23年末比6.4%とG10通貨と呼ばれる主要通貨の中で最大だ。円は23年を通じても下げが最も大きかった。

年初からの日本株高が円安を招いているとの指摘もある。日本株で運用する一部の海外投資家は、円安進行でドルベースの利益を目減りさせないために円売り・ドル買いを組み合わせる。株高が続いて運用残高が増え、追加的な円売りを誘った。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは「米利下げが始まればドル安が進むとの大局観は変わらない」と語る。その一方、当面は円安ドル高が定着し「22年につけた1ドル=151円90銭をうかがう可能性もある」とみる。



0 件のコメント:

コメントを投稿