2023年8月3日木曜日

マイナンバーカードの混乱

 政府のDX化は全くうまく行かない。コロナ騒動で露呈したいろんなプログラムの欠陥は止むことがない。実は、殆どの日本企業も同様の事態だ。上層部は、何々についてのDX化を進めろと官僚若しくは部下に命令すれば全てが出来上がると勘違いしている。それが日本の現状だと思う。命令された官僚や部下は、特にDX案件に関しては、まともな見積もり仕様書を作ることも出来ないから、コンサルタントや富士通やNECのような企業に見積仕様書作成すらも作成依頼する。コンサルタントにもまともな能力はないから、企業に依頼する。この時点でもう納入業者は決まっているから、納入業者は遣りたい放題に仕事をする。実施金額の査定は、概ね、プログラムの長さに単価を掛けたものになるから、業者はプログラム長さを冗長にして、見積もり金額に合わせるわけだ。従って、プログラム長さは単純明快ではなくて複雑で長くすることになる。こうすれば、メンテナンスの見積もりに際して他社が参入できないようにも出来る。かくして、省庁ごとの業者分けが出来て業者には都合が良いのだ。
このような状況を本気で解決しようとする政治家も官僚もいないから、というか、そもそも、その気力も能力も無いから、日本の政治システムでのDX化は殆ど不可能に近い。加えて企業側でも同様の事態となっているので、日本企業もまた、DX化は進まない。

住重物流部隊での、和田氏、亀田氏、谷口氏等のようなDX化に会社内生命を掛ける人間が存在しないとDX化は実現しないようだ。彼ら自身がプログラムを作るわけではないが、計算とか業務の流れを身を持って知る人材だ。そうしてさような人間は組織では出世できないのだ。管理職研修会では、「自分で遣るな、部下にやらせろ」と教えられるので、実務にもDX化にも管理職が自ら携わることはない。そんな管理職の下ではどんなプログラムが出来るのだろう。日本の会社では、概ね、「会社での出世は、運、鈍、根で決まる」なんて言ってる人間が出世するわけだ。
そんな事情で、冗長で複雑なプログラム作成が日本のソフト会社の習性となっていて、その実情が以下に掲載されている。

混乱マイナンバー3 まさにスパゲティコード

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5月2日夜、しんと静まった川崎市役所庁舎。唯一明かりがともるサーバールームに、情報端末の操作キーをたたく乾いた音が響いていた。富士通子会社、富士通Japan(ジャパン、東京・港)のIT(情報技術)エンジニアたちだ。

同日朝に同市のマイナンバーカードを使った証明書交付サービスで他人の戸籍謄本が交付された。個人情報流出の報告を受けた戸籍住民サービス課長の大貫久は、住民票や印鑑証明書などあらゆる証明書交付サービスを急ぎ停止した。「なんとしても原因を突き止めてほしい」。富士通に早期改修を要請した。

誤交付は8つの自治体で発生した。富士通製システムには複数の利用者からの申請が重なると、印刷の順番を取り違えるという欠陥があった。

IT技術者の会合では富士通製システムの複雑さが関心を集めた。「まさにスパゲティコードだ」。立命館大学教授の上原哲太郎は、命令処理の流れが麺のように絡み合って不良が起きても把握がしにくいプログラムだと指摘する。

国の指示で富士通は123自治体のシステムを総点検した。コンビニ交付システムを手掛ける約50社も点検を指示され、業界全体に動揺が広がった。

6月26日開催の富士通の株主総会で、社長の時田隆仁は「マイナンバーへの不信につながった」と謝罪し事態の収束を図った。だが2日後、福岡県宗像市で住民票誤交付が起きた。

29日夜、東京・港区の富士通本社に経営幹部が集まった。「多数の自治体で改修漏れの可能性がある」。衝撃の報告に皆押し黙った。富士通は高負荷環境下で起きる不良など一部のプログラムミスだけを改修していた。現場が把握する不良は複数あったが、富士通全体で共有する仕組みがなかった。システム全体の抜本改修を見送っていた。

「これは凡ミスだ」。経営陣は非中核事業売却などを優先し、事態が深刻化するまで誤交付問題を軽視した。場当たり的な対応の根元には企業統治の不備が潜む。「現場のミスを管理する機能が富士通グループ全体で働かなかった」。7月27日の決算会見で最高財務責任者(CFO)の磯部武司は反省した。

富士通製システムには全体の約6割にあたる76自治体で何らかの不良があったことが判明し、富士通は改修を余儀なくされた。デジタル行政への不信払拭には信頼あるITシステム構築が不可欠だ。

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