2021年4月26日月曜日

日経新聞の委員達も漸く気づいた様だ。

 日経の委員達も漸く気づいた様です。が、余りにも遅い気づきです。
費用も少なく、成果も確実なPCR検査の強化をなぜ実施しないのか、日本は不思議な国です。感染症対策会議の尾身会長すら、事態の最初からPCR検査は不要だと言い続けていて、なぜ駄目なのかを理論的に説明しないのです。裏ではいろんな理屈を並べているようです。

厚生省は、やるやると言いながら、面従腹背です。
費用は、休業・短業保障に比べると格段に安くできるようです。
ワクチンを使ってもコロナウイルスの感染を断ち切れないのは確実です。
しかも、コロナワクチンの場合、インフルエンザワクチンと違って一般医者が簡単にできるものでもありません。
これに比べてPCR検査は2000円程度で出来るようです。

定期的にPCR検査することが打開策ではと思います。
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感染の連鎖を断ち切る 数理モデルが導いた「広島方式」

編集委員 矢野寿彦

広島方式は誰もが受けられるPCR検査で無症状者を見つける(2月実施のトライアルの様子)=共同

人から人へのウイルス感染を封じ込めるイロハとなるのはいつの時代も「検査と隔離」である。広島県が4月、誰もが何回でもPCR検査を無料で受けられる独自の新型コロナウイルス対策を始めた。関西を中心に「第4波」が到来するなか、流行の火種となるクラスター(集団感染)を「見つけて潰す」のではなく「そもそもつくらない」。日本と中国の数学者がコロナ禍の1年を振り返り考案した数理モデルに基づいている。

Nikkei Views

編集委員が日々のニュースを取り上げ、独自の切り口で分析します。

数理工学の手法を利用

この感染症モデルを作ったのは、東京大学の合原一幸特別教授と中国上海師範大学の応用数学者らの共同研究グループだ。社会の複雑な現象を数式に落とし込み最適解を探る数理工学の手法を、新型コロナの流行に当てはめた。導き出した結論は、感染者の増加率は「感染率」と「感染に関与する人口」そして「新規感染者の見逃し率」の3つのパラメーター(変数)に比例するというものだ。

感染率はすなわち「感染のしやすさ」。マスクや手洗いの徹底、「3密」回避によって下げることができる。そして「関与する人口」は人の流れ(人流)。不要不急の外出自粛や飲食店の休業・時短要請に左右される。

最初の緊急事態宣言から1年がたち、コロナの流行もある意味、日常化した。国民一人一人に我慢を強いる対策は「疲れ」や「慣れ」から理解が得にくくなっている。「感染率」と「関与する人口」を今まで以上に下げるのは難しい。ならば「検査と隔離を徹底し、新規感染者の見逃し率を下げることで、(1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す)実効再生産数を抑えることができる」(合原特別教授)という。

検査能力は1日6300件

無症状者への大規模PCR検査で感染連鎖を断ち切る(3月31日、記者会見する湯崎英彦広島県知事)

広島方式は湯崎英彦知事がこの感染症モデルの存在を知り、トップダウンで始まった。県内5カ所に設置したPCRセンターで、県内の居住者と就業者であれば誰でも何回でも唾液による検査を受けられる。さらに無症状者が多い20代、30代に積極的に協力してもらえるよう、広島市内の薬局で検査キットを受け取れるようにもした。検査で陽性が判明すれば指定のホテルで健康観察と称する隔離となる。

県が確保している広島方式向けPCR検査能力は1日6300件。2月に実施したトライアル(試行)では6日間で約6500人が検査を受け、陽性率は0.06%だった。4月以降は薬局を介した分も含めて、当面1日約600人の利用を見込む。この1週間で約4900人が検査を受けた。検査コストは1人あたり2000円という。

広島県でも昨年12月から今年2月にかけて流行が広がった際には、時短要請などで約150億円の財政を出動した。「PCR検査の集中実施にかかる費用は桁違いに小さい。感染の連鎖を断ち切りクラスターを未然に防げば、社会・経済へのダメージも小さくてすむ」(県健康福祉局の担当者)。

まん延防止等重点措置の適用後も人出はあまり減っていない(5日午前、JR大阪駅前)

変異株による流行の「第4波」で大阪府や兵庫県などに緊急事態宣言に準じる「まん延防止等重点措置」が適用された。ただ、今のところ目立った効果は出ていない。無理もない。対策は飲食店への時短要請にとどまっているからだ。

科学的根拠に基づく対策を

本来、この「急所」を攻める策を切り札とするのなら、その感染抑制効果をきちんと科学的に立証し、納得がいくよう説明すべきである。例えば、大阪市ですべての飲食店に夜8時までの時短を要請する場合、それを1週間、1カ月続けると新規感染者は何人まで抑え込むことができるかを、データを使って示す必要がある。2度にわたった緊急事態宣言もそうだが、流行が鎮まった要因をきちんと検証せず、あいまいなままにしているのが日本のコロナ対策の欠陥といえる。

感染症などの予防には「積極的対策」と「消極的対策」とがある。例えばワクチンや検査は前者の代表例で一般の人にもその効果が実感しやすい。一方、自粛のような「行動を控える」消極策は、それによってどの程度感染から免れたかどうかが、どうしてもわかりづらい。

もちろん広島方式がどこまで通用するかはわからない。流行状況が最も深刻な「ステージ4」だと太刀打ちできるものでもない。ただ、ワクチンが普及するまでの当分の間、コロナとうまく付き合うには何らかのすべがいる。今、日本社会に求められているのは、説得力あるエビデンス(科学的根拠)に基づくコロナ対策ではないか。

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