2021年11月25日木曜日

僕の考えを既に実現化している人が居た。

 

第6波へ進化する墨田区 今こそ早期発見・早期治療

点照

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新型コロナウイルスの第6波対策は何を重視すべきか。先進自治体の一つ、東京都墨田区の方針は明確だ。ワクチンが普及し、治療薬を使える今こそ、感染者の早期発見、早期治療に力を注ぐ。それによってワクチンを受けていない子どもたちや効果が薄れる高齢者を守るというものだ。

まず検査を拡充する。ワクチンの普及で無症状や軽症が増えれば感染は見えにくくなる。墨田区は第5波でも「陽性が1人出たら全員検査」という方針で積極的疫学調査を幅広く行い、保育園で距離の遠い感染例を見つけてその先の感染を防いだ。

民間の誘致で拡大した1日1900件の検体分析能力を生かし、学校や高齢者施設、繁華街でモニタリング検査を増やす。インフルエンザの同時流行も見据え、子どもの欠席を保護者がスマホで学校に連絡する仕組みも導入、感染の予兆をつかむ材料にする。

「幅広く検査すれば見えにくい感染も見えてくる。最新の疫学情報に基づいて戦略を立てなければならない」。西塚至保健所長はこう話す。

政府は第6波対策で自宅やホテルでの療養は「陽性判明の当日か翌日に連絡し、健康観察や診療をする」とした。容体急変を防ぐため、墨田区をはじめ先進自治体の対応をようやく取り入れた形だ。

政府の腰が重かったのは早く見つけても治療薬がなかったためだが、今はある。墨田区は9月までに102人に投与し全員が軽快。外来や往診で使う体制も整えた。西塚所長は「治療薬ができ、早期診断・早期治療の体制が整っている墨田区は有利」とみる。

早期診断・早期治療で重症化を抑えられれば医療の負担は減る。病床も区内の病院の協力で国の方針を上回る水準を確保している。

保健所の拡充は形が見えてきた。受援体制を整えて応援要員を育て土日を任せられるようになった。民間とも繁華街の人流調査、自宅療養者への配送、看護師派遣で連携。感染が広がっても感染者への対応だけでなく、分業体制で情報収集や医療資源確保、住民への情報提供といった本来の機能を果たせるという。

幅広い連携は区内の病院院長、医師会役員らとウェブ会議で毎週、情報を共有しているたまものだ。「これは地域の医療資源を地域全体で運営する地域医療構想にほかならない」。西塚所長のこうした指摘を各地の医療関係者はどう受け止めるだろうか。

(編集委員 斉藤徹弥)

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