2020年6月6日土曜日

IT立国を目指す、かっては世界最先端の日本も、パソコン・スマホ使えないIT担当大臣ではね??

日本は、無駄使いばかりしている間に、国力を失ってゆくようだ。
コロナが試すIT競争力 日本、際立つ出遅れ     
新型コロナウイルス対策を巡って、最新のデジタル技術やデータ活用を取り入れる動きが世界で広がる。先進事例からは、まず走り出す迅速さ(スピード)、官と民の連携(シェア)、使う手段や情報の臨機応変な代用(サブスティチュート)という「3つのS」の重要性が浮かぶ。危機対応で各国政府のIT(情報技術)競争力が試されるなか、日本の出遅れは際立つ。



日本はデータ貧困国 開示不十分、コロナ対応の足かせ
スマホに話しかけると、人工知能(AI)が声や呼吸音から肺の状況を解析する。「8割超の精度でコロナ感染を判定できる」。欧州専門家集団、ボイスメドが開発した簡易診断技術だ。一時は医療崩壊に追い込まれたイタリアで5月、本格導入が始まった。
きっかけは3月下旬に政府が後援したビジネスアイデアのコンテストだ。欧州最悪となる感染拡大のスピードに、検査体制が追いつかなかった教訓から採用を決めた。市民へ利用を呼びかけ、感染把握や医療拡充を急ぐ。
ウイルスとの戦いは時間勝負だ。米国勢調査局は4月下旬から毎週、100万世帯を対象に雇用や教育、食料事情を聞くネット調査を続ける。
2020年は10年ごとの国勢調査の年に当たるが、待っていられない。「ほぼリアルタイムのデータ」(同局)を探るため、特例措置に乗り出した。貧困層への支援策などで活用が進む。
■米、グーグルAIで給付処理30倍
民間の知恵や技術を引き出し、行政サービスを補完する動きも活発になってきた。
4月に感染者が急増した米国。失業保険の申請が殺到してオクラホマ州の対応窓口はパンクしかけたが、5月中旬までに累計700億円超の給付手続きを終えた。「自力では無理」と早々に助けを求めたことが奏功した。
協力したのが米グーグルだ。4月中旬から州のコールセンター業務に同社のAIを導入。申請データの処理を任せると、1週間の対応件数が6万件と30倍になった。「通常なら2年かかる作業を数日でできた」。担当官のデビッド・オストロー氏は話す。


欧州で最も早く外出制限を緩和したオーストリア。ここでも秘訣は官民連携だった。
「感染者数が公式統計の4倍の2万8500人に上る可能性がある」。4月には政府が自らの統計に限界を認め、民間企業に委託して潜在感染数を割り出した。世論調査向けのデータ技術を応用した。
いち早い国境封鎖や屋内集会を制限する措置も、こうしたデータ活用が背景にある。調査担当のクリストフ・ホフィンガー氏は「官民のデータ連携は危機対応の生命線になる」と強調する。
■仏、排水から感染を警戒
世界規模で感染第2波への懸念も広がる。相手は未知のウイルスだ。既存の発想にとらわれない様々なデータや技術の試行錯誤も欠かせない。
4月下旬、仏パリ。ソルボンヌ大と市当局は下水処理場からコロナウイルスの遺伝物質を検出し、感染拡大と生活排水に関係性があることを突き止めた。感染者が増えた地域は約1週間早く下水中のウイルスも増えたという。
同大のバンサン・マレシャル教授は「無症状の感染者が多いことを踏まえると、今後の感染対策で有効な手立てになる」と指摘する。オランダやブラジルでも同様の検出に成功しており、世界各地で排水データを使う警告システムの検討が広がる。

各国の取り組みに比べ、日本の出足は鈍い。接触確認アプリの開発は遅れ、給付金のネット申請では障害が頻発する。日本は行政システムを政府主導で手がける自前主義が強いが、経済産業省の幹部は「どんなデータや技術を使えば有効か、アイデアを出せる人材が少ない」と嘆く。
スイスの国際経営開発研究所(IMD)によると、19年の日本のデジタル競争力は23位と対象63カ国・地域の中で中位にとどまった。「産官学でデータ資産や人材が分散しすぎている」(三菱総合研究所の酒井博司氏)との指摘は多く、アジアでは韓国や台湾、中国に後れを取る。ITを駆使したコロナ対策でも、そのまま後手に回る現実が鮮明になっている。
世界を見渡せば、コロナ禍を好機に変えようとする動きも顕著だ。米国は総額2兆ドル(220兆円)の緊急経済対策のうち、約3千億ドルを政府内のテレワーク環境整備や遠隔診療などに充てる。対する日本は政府・自治体のシステム統合ですら手間取る。コロナ後に世界とのIT競争力はさらに開きかねない状況だ。
(デジタル政策エディター 八十島綾平、綱嶋亨)

日本はデータ貧困国 開示不十分、コロナ対応の足かせ

新型コロナ
経済
ヘルスケア
医療・健康
2020/6/5 23:19
1318文字
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日本では新型コロナウイルス対策に必要なデータが先進国で大きく見劣りする。情報収集・開示のスピードや幅広さを欠き、データ形式もばらばらだ。このままでは政策、経済活動、医療が場当たり的となり、民間の創意工夫も引き出せない。貧困なデータ環境がコロナ対策の足かせになっている。



「自治体に問い合わせたり、ネットで調べたりしてデータを集めている」。厚生労働省クラスター対策班にいる北海道大の西浦博教授は5月12日、動画サイトを通じた「緊急勉強会」でこんな実態を明らかにした。
題材は「実効再生産数」。1人の感染者が何人にうつすかを示す値で、欧米では経済活動を再開する判断材料になっている。この数値を導くには新規感染者がいつ、どこで、何人発生したかを正確に知る必要がある。それが一部欠落し、ボランティアや若手研究者の手で埋めているという。


日本経済新聞が主な先進国の公表データ集を調べると、実効再生産数の算出に必要なデータはほとんど自由にダウンロードできた。こうした環境は民間企業や研究者がコロナ対策を分析、提案する基盤となる。
海外保健当局のデータ開示は日本のはるか先を行く。米疾病対策センター(CDC)は特設サイトを通じ、感染者数やその人口比、死者数などの最新データを年齢層や性別、州・郡別に提供。地図やグラフでわかりやすく比較できる。英国、ドイツ、フランス、イタリア、韓国なども同様のデータ集(ダッシュボード)を公開している。
厚労省は感染が広がり始めた当初に作ったダッシュボードを5月に公式情報から取り下げ、世界の潮流に逆行する。厚労省は「実際の集計値と差が出てきた」と釈明するが、集計項目もデータ形式も都道府県任せの状態が混乱を招いている。
コンピューターで加工しやすい形式にまとめている自治体がある一方、PDFファイルを載せるだけの自治体もある。これでは迅速な比較・分析はできない。
感染拡大の分析に役立つ「超過死亡」のデータも日本では整っていない。自治体からの報告が不十分で、政府が国内死亡者の全体を集計するのは2カ月遅れ。刻一刻と事態が変わる感染症対策に生かせない。
欧州ではデンマーク政府による超過死亡関連のデータ集計に欧州24カ国が協力。週次ベースで超過死亡を推計している。米国でもCDCが週次で公開しており、日本と欧米の差は開くばかりだ。
英非営利団体のオープン・データ・インスティチュートは、危機時のデータ公開には3つの観点が重要だと指摘する。
1つ目はオンライン上でデータを入手可能にすることだ。技術者などがプログラム共有するサイト「ギットハブ」などを通じてデータを公開することを推奨する。分かりやすく可視化するには民間の力が欠かせない。イタリア政府は感染者データをギットハブで公開し、高い評価を得た。
2つ目は誰でも使えるように利用許諾を明確にすることだ。許諾がなければデータの活用が進まない。3つ目としてデータが国民の目に触れやすくする積極的な情報発信を求めている。
同団体の技術担当、フィオンタン・オドネル氏は「感染予測モデルの公開も重要。医療政策で透明性のある科学的根拠を示せば、国民の信頼構築に役立つ」と主張する。
(朝田賢治、黄田和宏)

事業委託、ルールに穴 民間活用へ見直し急務
持続化給付、情報開示に問題 消費喚起策の公募中止  
   新型コロナウイルスの影響を抑えるための補正予算で、業務の民間委託を巡る問題が焦点になっている。中小企業向け給付金の支払業務では委託先団体が業務を電通に再委託し、この過程で100億円以上がかかる計算だ。競争原理が十分に機能せずコストが膨らむ。政府部門の効率化には民間委託の拡大が不可欠だが、ルールの穴を防ぐことが欠かせない。


第1の問題は一般競争入札で委託先を選んだプロセスだ。政府は中小企業に最大200万円を配る「持続化給付金」の業務を一般社団法人サービスデザイン推進協議会に769億円で委託した。
入札はサービス協議会とデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社が応じた。ただ結果は経産省の「総合評価」で決まり、5月29日に経産省が開示した資料ではデロイトの入札額が黒塗りになっていた。
入札制度は発注先が適正かを検証する狙いがある。同協議会の入札額が低かったか検証できない状況では、競争入札は十分に機能しない。「協議会は電通に仕事を回すためのトンネル団体だった疑いがある」との声が出ても反論しにくい。
第2は委託コストが膨張する問題だ。サービスデザイン推進協議会は業務を電通に再委託する。この過程で協議会に割り当てられた経費は約20億円だ。このうち銀行に支払う振込手数料は15.6億円。請け負うみずほ銀行は「振り込み依頼に対し所定の手数料を請求する予定だ」とする。

協議会から再委託を受ける電通は、さらに業務を子会社5社に外注する。この過程で電通も給付金の受け付けや審査の管理運営などで100億円の費用を受け取るが詳細な積算根拠は示していない。
国から委託を受けた業務の再委託自体は問題ではない。2006年に財務省が出した公共調達に関する通知は全事業一括の丸投げを禁じる一方、必要性などに応じて再委託を認めている。
業務が下請けや孫請けに発注されることは建設業界など民間でもある。だが価格が高止まりすれば採算が合わず市場からの撤退を迫られる。国の再委託事業の問題はこうした競争原理が働かないことだ。
第3には透明性だ。サービス協議会は法律で義務付けられる決算公告を2016年の設立以後、一度も出していない。100万円以下の過料という罰則に相当する事態だ。梶山弘志経産相が5日の会見で「大変遺憾で早急な対応を要請している」と釈明した。
神戸学院大の中野雅至教授は「決算公告などは事業を適正に遂行できるか判断するうえで重要な指標。実態が見えにくい法人へ委託を決めた今回の事案は、法人と経産省との間に不透明な関係があったと疑われても仕方がない」と指摘する。
コロナ収束後の消費喚起策の「Go To キャンペーン」も迷走する。批判の対象は上限で約3000億円と巨額の委託費だ。これは事業費全体の約2割を占める。赤羽一嘉国土交通相は巨額との批判を受け委託費を縮小する考えを示した。
さらに政府は5日には事業委託先の公募をいったん中止すると発表した。キャンペーンは7月末にも始める予定だったが、スケジュールの遅れは避けられない。
コロナのかつてない影響に対し、世界各国は民間のデジタル技術も借りながら難局に挑もうとしている。人海戦術に頼った仕組みや不透明な入札を巡る取引疑惑が焦点になる日本はちぐはぐ感が否めない。
2020/6/6付
 
持続化給付金769億円で委託 「透明性欠く」指摘の声     
新型コロナウイルスの緊急経済対策として中小企業などに支給される経済産業省の「持続化給付金」を巡り、手続き業務が769億円で民間団体に委託されていたことが30日までに分かった。事業の大部分は広告大手の電通に749億円で再委託されていた。団体の代表は「詳しい経緯は分からない」としており、巨額事業の委託先などに関する情報の少なさを問題視する指摘も出ている。
持続化給付金は前年に比べて売り上げが減少した事業者を対象に、最大で法人に200万円、個人事業主に100万円をそれぞれ支給する。政府は補正予算で約2兆3千億円を計上した。
経産省は給付金申請の審査や送金手続きなどの業務委託先の選定について一般競争入札を実施し、4月30日に「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」(東京)と769億円で契約した。
5月29日の野党合同ヒアリングでの経産省の説明によると、同法人の従業員は14人で、各地にあるコールセンターの運営など事業の大部分を電通に再委託した。再委託の契約額は749億円で、差額の20億円は給付金の振込手数料や法人の人件費に充てられるという。
同法人はサービス業の生産性向上を図る目的で、電通などが2016年に設立した。過去には、良質なサービス事業者を認定する経産省の「おもてなし規格認証」事業などを受託している。
法人の代表理事の男性は30日、取材に対し「給付金の委託業務は別の担当が行っており何も分からない。6月に任期満了を迎えるため、法人には5月14日に辞任の意向を伝えている」と話した。
千葉大の新藤宗幸名誉教授(行政学)は「委託先の情報が少なく、業務の担い手の実態が見えにくいのは問題だ。緊急時の巨額事業では国民に『どさくさ紛れ』という疑念を持たれないよう、業者の選定や管理により高い透明性が求められる」と指摘している。


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