子どもも居ないのに、何に使うのだろう?
元法相に金を与えて選挙買収違反を犯させるなんて、異常中の異常だろう。
安倍1強のゆがみ映す 河井夫妻を逮捕
「政治とカネ」で閣僚経験者が18年ぶりに逮捕された。自民党の河井克行前法相と妻の案里参院議員が2019年の参院選で地元議員らに現金を配った疑いで、政権への打撃は避けられない。安倍晋三首相ら政権中枢に近い議員の逮捕は長期政権のおごりや緩みと無縁でない。
自民党は19年7月の参院選で改選数2の広島選挙区で2人目の候補として、新人の案里容疑者を公認した。現職だった岸田派の溝手顕正元防災相への一本化を望んだ地元の反対を党本部が押し切った。
党本部は2人への支援で格差をつけた。案里容疑者の陣営への運動資金は現職の10倍である1億5千万円を振り込んだ。政党交付金などが原資だ。公職選挙法など法律上の問題はないが巨額の支援が強引な選挙戦につながったとの見方がある。
克行容疑者は首相補佐官や自民党総裁外交特別補佐を務め、首相や菅義偉官房長官と近い関係にあるとされた。政権中枢が案里容疑者の陣営に肩入れしたとの見方が強く、選挙戦の当初から党内では不満や批判が潜在していた。
溝手陣営にいたスタッフは「とてもまねできる規模ではない派手な選挙戦だった。金銭、マンパワー、まるで兵糧攻めに遭っているような戦いだった」と振り返る。
野党は「違法行為の源泉となった金銭の流れなど説明責任を果たすよう追及していく」(国民民主党の玉木雄一郎代表)構えだ。
河井夫妻の関係者によると、党本部からの資金の大部分は党勢拡大のための広報誌の配布に使われた。二階俊博幹事長は17日、広報誌を配布した経緯を説明し、党本部が振り込んだ1億5千万円が買収資金に使われていないとの認識を示した。
「政治とカネ」の問題は戦後まもなくから始まり、1970年代、80年代にロッキード事件、リクルート事件などがあり、90年代初頭の東京佐川急便事件で世論の不満は頂点に達した。なぜ政治に巨額のおカネが必要なのか。そこで出した答えが衆院への小選挙区制導入だった。
ひとつの選挙区の定員が3人から5人の時代に自民党には5つの派閥ができた。総裁選をにらんで勢力を保持・拡大するには、同じ選挙区で他派閥の候補を蹴落とすしかない。自民党の派閥の力を弱めるには、ひとつの選挙区で1人しか当選できない小選挙区制を導入し、党の権限を強めるしかないとの結論だった。
「政治とカネ」の問題で自民党の信頼は失墜し、93年には結党以来、初めて下野した。96年の初めての小選挙区制選挙以降は「不祥事を起こし、有権者の信用がなくなれば野党に転落する」との緊張感が与野党には生まれた。09年には非自民勢力を結集した民主党が政権交代を実現した。
国民の期待でできた民主党政権は3年あまりで終わり、自民党は安倍総裁のもとで政権に復帰した。「野党になりたくない」との心理が今度は「強すぎる官邸」を生み、7年以上にわたる超長期政権の弊害も様々なところに現れてきた。
非自民の細川護熙政権で首相秘書官を務めた成田憲彦駿河台大学名誉教授は「政治改革で資金の流れの透明性は高まった。政党の良識が働かず、安倍1強でゆがんだ自民党のチェック機能の問題だ」と断じる。「必要な政治改革は不断に検討されるべきだ」とも話す。
参院選挙区で、複数区で同じ党が候補を立て、議席を増やしたいと考えるのはおかしなことではない。今回の事件の舞台で地元の反対を押し切って2人目の新人を立てたことに「おごりと緩みがあった。かつての衆院中選挙区のような状況になった」との指摘がある。
いまは派閥の力が衰えた代わりに、党首をトップとする党執行部には公認権、人事権、政治資金で絶大な権限がある。
政党が自由に使える資金とはいえ、同じ党内候補でも問題が表面化するまで実態がわからない異様さは残る。安倍政権には有権者の疑念を払拭する説明責任が改めて問われている。(坂口幸祐)
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